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スウェーデン大使館東京都, 日本

東京、日本のスウェーデン大使館へようこそ。

日本時間 4:49

プレ・ストックホルム・ユース会議(4月25日開催)結果

オフサイト(会場)参加は60名のユースを含む120名の参加があり、オンラインでは5校の中学・高校が授業として参加し、海外からの参加も含め延べ300人以上が参加しました。

当日の様子はこちらのビデオでご覧になれます。

オープニング 13:30-14:00: 


ペールエリック・ヘーグベリ駐日スウェーデン大使

坂本しのぶ氏(1972年のストックホルム会議に15歳の時に熊本から参加、水俣病(水銀汚染)を世界に訴える)

加藤三郎氏(1972年会議に政府代表団の一員として参加・環境庁地球環境部の初代部長)

上記3人の対話で1972年のストックホルム会議(国連人間環境会議)を振り返り、その後の進歩や課題を考える。

オクス・ハルコ氏(UNEP 国連環境計画、Stockholm+50 コーディネーター)からUNEPの設立50周年について

アンニカ・ストランドヘル氏  スウェーデン環境・気候変動大臣ビデオメッセージ

https://www.youtube.com/watch?v=OQu0gj0VC6g 

 

世界の状況を知る 14:00-15:00



タブ・イリナ駐日ケニア大使

江守正多氏(東京大学 未来ビジョン研究センター 教授/国立環境研究所 上級主席研究員)

ダニエル・ターナルド氏 (Associate Expert, UNEP-IETC 国連環境計画国際環境技術センター)

アン・マクドナルド氏(上智大学)

会場の若者(オンライン参加者も)が気候変動、生物多様性の喪失、プラスチックや海洋汚染について質問し対話形式で世界の環境の状況を学ぶ。

若者からの活動紹介 15:00-15:30:

若者団体からどのような活動をしているか、課題は何かを発表。

日本若者協議会 代表理事 室橋祐貴氏 発表資料

一般社団法人SWiTCH 佐座マナ氏 発表資料

一般社団法人Change Our Next DecadeChange Our Next Decade 代表理事 矢動丸琴子氏 発表資料

フィッシャーマン・ジャパン 村上日奈子氏 発表資料

ユーグレナCFO 川崎レナ氏 発表資料

ストックホルム+50ユースタスクフォース 田中迅氏&陸陽子氏

ブレイク 15:30-16:00:

フィーカ(スウェーデンのコーヒータイム)  
日本政府、メディア、スウェーデン企業(展示ホールにブースあり)との交流

スウェーデンの科学者・若者・教育者(オンライン参加)との対話 16:00-17:15


ヨハン・ロックストローム博士 (ストックホルム・レジリエンスセンター、ポツダム研究所)との対話によりインスピレーションを得る(発表資料掲載準備中)

ビヨーン・フォンデーン氏 LSU(スウェーデン全国青年協議会)/Stockholm +50 Youth Task Force

スウェーデンの国連指定校からMattias Denkert (Swedish high school Klara Teoretiska Gymnasium)発表資料

スウェーデンの若者団体が地球規模危機に対してどのような認識を持っているか、どのような活動を行っているか、意思決定や政策にどのように影響力をもち関わっているか 、スウェーデンの学校ではどのような教育が行われているか。

3つの地球の危機について行動計画を作成する17:15-18:30:

  • オンサイト参加者によるグループディスカッション
  • 気候変動(システム・チェンジ)
  • 気候変動(ライフスタイル・チェンジ)
  • 生物多様性と自然の喪失
  • プラスチック汚染やフードロスなどの廃棄物

オンライン参加者によるグループディスカッション(英語グループ・日本語グループ)

  • 会場参加者、オンライン参加者ともにこのディスカッションをもとに書面にて感想や行動計画案を後日提出、この行動計画の提案などを、ストックホルム視察助成対象者の選考の参考とする。
  • 環境省正田地球環境審議官によるコメント
  • ヨハンナ・リッシンガ―・ペイツ大使(ストックホルム+50特任大使)によるコメント
  • スウェーデン大使 閉会のことば


閉会

オンライン参加した若者からの感想:

Y.M.さん/N高等学校

今回のイベントに参加させていただき、環境側面が考慮されていない経済構造を変化させる必要性を強く感じました。

坂本さんの「水俣病は終わっていない」という言葉からも、経済を優先したために人々や自然環境に悪影響を与えてしまったことを反省し、後世に伝承しながら、環境問題を改善する必要に迫られていると痛感しました。

また、環境問題を解消しようとされている方々の中でも、さまざまな視点やアプローチがあることを知り、多様な意見や事象を参考にしていくなど、学ぶ姿勢を大切にしていきたいと考えました。

今後の世の中において行動をした方がいいではなく、さまざまな事象において問題意識を持って、行動を起こしていかなければならないという危機感を抱き、行動を大切に世の中に働きかけていける人を目指したいと感じました。

将来的には、さまざまな国の文化を体感したく、スウェーデンにも旅行でいきたいと思っています!

今回はこのようなイベントを企画・参加させていただき、ありがとうございました。

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M.S.さん/S高等学校

イベント冒頭の坂本しのぶさんが語った「水俣病は終わっていない」というメッセージは、胸に刻まなくてはいけない言葉だと感じました。会場で、生でお話を聞くことができてよかったと強く印象に残りました。

また、行動を起こしている同世代の方の話や、ディスカッションでは、ビジネス・法律・政治など、様々な面から環境問題について考えている人とも会話できて、刺激を受けました。

他には、ケニア大使が語ったケニアの若者の植樹の話や、スウェーデンの学校の先生による学校でいらなくなった洋服を集めて持ってくるお話からも、一括りに環境問題といっても多様な視点で課題があり、その分、たくさんのアプローチができるのではないかということを感じました。

ディスカッションで出てきた話題やアイデアも、食やプラスチックを始めとして変えていけるところが多くあることを改めて考えさせられました。ディスカッションを交わす時間も、あっという間で、今後も若者が率先して環境問題について多角的に意見を交わし、行動を起こすことが大切なのだと思いました。

今回の会議に参加したことで、たくさんの感銘を受けたので、いつか、スウェーデンで学んでみたいという気持ちがより強まりました。

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A.S.さん/S学園高等学校

今まで保健や政治経済の授業などで、水俣病のことやゼロ・エミッションのことを学んできましたが、実際に水俣病の被害者である坂本さんが一生懸命、話しづらい中、私達に言葉で想いを伝えようとして下さっている様子を見て、人間が人間に残したことの残酷さに苦しくなりました。坂本さんがもしかしたら、自分の家族だったかもしれない、自分自身だったかもしれない、と今の世界だと誰もが経済発展の犠牲になってもおかしくないんだと、どこか他人事に捉えてていたことに気付き恥ずかしくなりました。

また、私が小学生の時からずっと学校の授業やニュースで取り上げられている「環境問題」については、私は今までずっと受け身の姿勢だったと反省しました。どこかの偉い人たちが相談しあってるから、いつかおさまるだろう。と他の人に任せておけば大丈夫というような考えがありました。

でも、今回の会議に参加して本当に考えが変わりました。ハリソンさんのように10歳の人が参加していたり、また、日本若者会議には全体の30%もの人が高校生であることを知り、もう受け身ではいられないんだと、未来を担っていく私達にこそ、責任があり一人一人の行動を変えていかなければならないと心から思いました。

また、加藤さんの言葉で印象に残った言葉が2つあります。一つ目は、「経済学を学んだらダメ」という言葉です。経済を優先すると、生物・環境に悪影響が出るという意味で、確かにどの環境問題の原因にも経済というものが隠れいてると思い、どこか経済学と生物学という関係のなさそうなものが繋がっていてハッとしました。

ニつ目は、「女性や若い人はわきまえるな」という言葉です。女性や若い人は遠慮しない、立場をわきまえていない、と非難する人もいるが、今の世界の問題を解決するには女性や若い人が、わきまえずに新しい発想を生み出していくことが大切だという意味の言葉で、若者でもあり女性である私には、とても深く心に刺さりました。

今の現状を知って、世界を変えたい、被害にあっている人達を救いたいと強く思いました。何気なく参加した今回の会議でしたが、私も世界を変えたいと思う人の一員で、私達若者が行動を変え、熱心に環境問題と向き合うことは、少しずつだけど世界を変えられるんだと初めて気づいた私達、若者の可能性に胸の奥が熱くなりました。

今回、参加して本当に良かったです。私達の地球、一人一人の地球、だからこそ、みんなで、責任を分かち合っていきたい、だからまずは私の日常から一歩一歩変えていこうと思います。


ヨハン・ロックストローム博士のインタビュー記事
4月25日に行いましたプレ・ストックホルム+50ユース会議に登壇していただいたヨハン・ロックストローム博士のインタビュー記事が各紙に掲載されました。テキストのみこちらから読んでいただけます。

近づく破局への臨界点 (インタビュー 共同通信 井田徹治さん)

 経済を地球の限界内に  独ポツダム気候影響研究所長 ヨハン・ロックストローム 
Rockstrom.jpeg

 今年は、世界で初めて環境問題が国連の場で取り上げられたストックホルムでの人間環境会議から50年になる。記念の会議をホストするスウェーデンの閣僚などに私が最初に言ったのは「この50年間の失敗を認めよ」ということだった。

 科学の警告はずっと前からあった。1972年には「成長の限界」という報告書が発表され、気候変動や生物種の絶滅、酸性雨、環境汚染に対する警告が続いた。科学は常に政策の先を行っており、われわれは「知らなかった」と言えない。

 失敗の理由はいくつかある。気候変動による海面上昇や生物多様性の消失といった変化はゆっくりとしたもので、大きなリスクに直面するのは将来世代だ。人類はそのような変化やリスクに対応することが苦手だ。

 しかも、過去約150年間、人類は化石燃料を使い、天然資源を搾取することで経済発展を遂げてきた。それを根本から変えるコストは小さくない。変化を実現して地球環境を守り、気候危機を解決することの利益が、短期的な利益よりも大きいと理解することも容易ではない。

 化石燃料産業やそれに関連する政治システムなど大きな既得権益が存在する。多くの国がパリ協定にサインし、2050年の脱炭素を明言しておきながら、依然として化石燃料産業への投資を続けている。言行不一致が続いているのだ。

 大気や海洋などは地球の共有財産なのだが、それを守る行動が地球規模で進んでいるとはいえない。各国が疑心暗鬼になって対策が進まない「共有地の悲劇」といえる状況に陥っている。

 われわれは09年、地球の生態系には人類が持続可能に生存できる限界があるという「プラネタリーバウンダリー」の概念を提案した。農業に起因する窒素やリンの大量使用、生物多様性、気候変動といった人間活動の影響は、既に地球の限界を超えており、このままでは臨界点に達して、不可逆的な破局をもたらす。

 50年前にも環境汚染は深刻だったが、当時は、人間の影響が生態系の限界を超え、臨界点に近づくまでになるとは考えもしなかった。

 今や、全ての経済活動を、科学的に定義されたプラネタリーバウンダリーの範囲内に収めることが必要だという事実を全ての人が認識し、経済や社会のシステムを根本から変革する必要がある。臨界点が近づく中でそれを実現するために残された時間は少ない。30年までに生物多様性の消失に歯止めをかけ、温室効果ガスの排出量を半減させねばならないのだ。

 地球の共有財産を守る行動を取る責任が全ての国にあり、国際的な規制の強化は欠かせない。一方で、自国にある熱帯林や淡水資源を守っている国には、その貢献への報酬が得られる仕組みも必要だ。共有財産を守るために多くの資金が回るようになれば、人々の行動も変わると期待できる。

 人類の地球環境への影響は大きくなる一方で、「人新世」と呼ばれる新たな地質年代に突入して久しい。だが、幸いなことに、地球規模で環境変化の臨界点を超え、破局的なことが起こるまでには至っていない。

 今後、10年間で現在の傾向を逆転させられるかどうかが重要だ。人類は今、その岐路に立っている。

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 JOHAN ROCKSTROM 1965年スウェーデン生まれの著名な環境科学者。2018年から現職。